開発を担当したのは、チョコレート・の佐々木千奈さん。
このチョコレートバーについて、開発にかけた想いやおすすめのペアリングを伺いました。
- 今回初めてのパリメ, トーゴの開発でしたが、当初どんなフレーバーにしたいと考えていましたか?
これまでに開発してきた産地のカカオ豆と比べると、ナッツを思わせる香ばしさや、濃厚なチョコレートを思わせるフレーバーを強く感じました。その個性を活かすため、ナッティーさや、コクのあるココアのような風味を、より引き出したいと考えていました。
-開発する上で難しかったことやこだわったことを教えてください。
カカオ豆の発酵具合によって生じる、わずかな収斂味との向き合い方でした。
トーゴ産カカオが持つ魅力的なフレーバーを損なうことなく、その渋みをいかに抑えるか。
試作を重ねながら、焙煎や配合のバランスを慎重に探っていきました。
最終的には、酸味を程よく和らげつつ、ミルキーで食べやすい味わいに仕上げることにこだわっています。
- 出来上がったチョコレートのフレーバーはいかがでしたか?
全体として、キャラメリゼしたカカオ豆をそのまま味わっているかのような、コクのある味わいに仕上がりました。
リッチで重厚感のあるブラウニーに、ふわりと添えられた生クリーム、さらにじっくり煮詰めたキャラメルを連想させる甘みが広がります。
それぞれのフレーバーがバランスよく重なり合い、このカカオならではの個性を、より豊かに引き立てています。
- 食べるときのおすすめのペアリングやシチュエーションを教えてください。
ペアリング:ほうじ茶、赤ワイン、カフェラテ
仕事終わりのひと息など、1日の終わりのリラックスタイムにおすすめです。
ほうじ茶の香ばしさがトーゴカカオのほろ苦さをやさしく和らげ、旨味をいっそう引き立てます。
また、デイリーな赤ワインと合わせることで、チョコレートの味わいに深みが増し、より高級感のある味わいになります。
トーゴ・パリメ産カカオの物語
2022年にパリで開催された「サロン・デュ・ショコラ」。その閉幕後、ダンデライオンの共同創業者グレッグは、一人の人物と出会いました。持続可能なサプライチェーンの構築に取り組むスイスの企業「gebana(ゲバナ)」で、カカオ販売責任者を務めるオスカー・ヨンソン氏です。
実は、オスカーは私たちの友人でもあるオーストリア「ゾッター・チョコレート(Zotter Chocolate)」のジュリア・ゾッターとも既に仕事をしていました。グレッグは以前からゾッターのトーゴ産チョコレートのファンだったこともあり、がぜん興味を惹かれました。そこでオスカーから、トーゴのクパリメ近郊にある「Vision+(ビジョン・プラス)」という協同組合のカカオサンプルを送ってもらい、その品質を確かめることにしたのです。

小規模農家が支えるカカオ栽培
トーゴの一般的なカカオ農園の広さは約0.5ヘクタールほどで、年間平均250kgのカカオ豆を生産しています。カカオの栽培だけで生計を立てるのは容易ではありません。そのため、農園内にはカカオの木の間にコーヒー、トウモロコシ、プランテン(調理用バナナ)などが混植されており、これらは地元の市場に出荷されます。
一方で、カカオのような輸出用作物の収入は、農家の人々にとって非常に重要です。この現金収入があることで、医療費や子供たちの進学、あるいは日々の生活の質の向上といった、家族の将来への投資が可能になるからです。

丁寧な手仕事による発酵と乾燥
トーゴの小規模農家の人々は、栽培や収穫だけでなく、発酵と乾燥の工程もすべて自ら行います。
発酵: 収穫してポッドから取り出した「ウェットビーンズ(白い果肉に包まれた豆)」を山積みし、バナナやプランテンの葉で覆います。均一に発酵させるために数日おきに切り返しを行い、約7日間かけて丁寧に発酵させます。乾燥: 発酵が終わると、竹で作られた高床式の乾燥台に移され、約10日間かけて太陽の光で乾燥させます。

こうして仕上げられた豆は集荷場へと運ばれ、選別・ブレンドを経て、輸出用に袋詰めされます。「トーゴのカカオを世界市場へ届ける」というgebanaのミッションのおかげで、私たちはこの素晴らしい豆を使ってチョコレートを作れることを、とても幸運に感じています。